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レアバリアントの解析


 疾患発症への影響が大きいレアバリアントの解析をするためには、 その人のゲノムDNAの配列を読むシークエンス解析が不可欠です。 一人のゲノムDNAの配列全体を解析する全ゲノムシークエンスは、 2000年頃は100億円以上の費用がかかりましたが、 現在では10万円以下と非常に安価となったとはいえ、それを数万人規模で解析することは困難です。 そこで、特定の遺伝子だけを解析するターゲットシークエンスという手法があります。 様々なやり方が提案されていますが、我々は多くの領域を同時に増幅する古典的手法であるmultiplex PCRを応用し、 1回目のPCRで1000か所を同時に増幅し、続く2回目のPCRで一人一人を識別する配列を付加する手法を開発しました。 この手法の大きな強みは、下図のような分注機器を用いることで、 一度に数千個体について次世代シークエンサーで 解析が可能なDNAライブラリーを作ることができる点です。

自動分注機の画像

 この手法を開発した初期は、ゲノムワイド関連解析で候補に挙がった遺伝子を 詳細に解析するfine mappingを行うために用いましたが( Nat Commun. 2018;9:4083 , Ann Rheum Dis. 2019;78:1062-1069 など)、2015年からは遺伝性腫瘍に着目した解析に応用を行いました( がんのページ参照 )。 この手法は応用範囲が大きく、同じ研究センターの薬理遺伝学を専門とする 莚田 泰成TD は、薬物代謝に特化した遺伝子を対象としたパネルを構築しました( Drug Metab Pharmacokinet. 2021;37:100370 )。 また、体細胞変異の解析への応用として同じ研究センターの石川 文彦TD ( Nat Cancer. 2021;2:340-356 )や 京都大学の小川 誠司教授 ( Nat Med. 2021;27:1239-1249 )との共同研究も行いました。 眼科の遺伝性疾患である網膜色素変性における日本人の病的バリアントの特徴を 明らかにするための報告も共同で行ってきています( J Med Genet. 2019;10:662-670 など)。 さらに、本研究室で行っているイヌやネコを対象とした研究にも拡張を行っています( 動物のページ参照 )。