[開催レポート]
理研よこはまサイエンスカフェ「ただの栄養素?世の中が変わるタンパク質研究」

日時
2015年3月1日(日)14:00~16:00
講師
美川務(生命システム研究センター 細胞動態計測コア 生体分子構造動態研究チーム 専任研究員)
会場
県立川崎図書館

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「タンパク質」と聞いて、多くの方が思い浮かべることは、人の体をつくるための重要な栄養素であるということではないでしょうか。今回のサイエンスカフェは、タンパク質は重要な栄養素であると同時に様々な機能を持っていること、例えば代謝酵素として食べ物からエネルギーを得るタンパク質、毒として働くタンパク質、抗体として働くタンパク質など、様々なタンパク質の紹介から始まりました。
また、タンパク質の実用化例の一つとして、生命の代謝過程を模倣して発電するバイオ燃料電池についての最先端の研究が紹介されました。

そして、タンパク質の組成について、LEGOブロックに例えてのわかりやすい説明がありました。LEGOブロックは様々な長さや形の異なるパーツを組みあげることで様々な物体や機械までもつくりあげられるものです。人間の体においても、20種類からなるアミノ酸の組み合わせによって、様々な機能を持つタンパク質が形つくられおり、思いのままに特定の機能をもったタンパク質をつくりだすためには、LEGOを組立てる上で設計図が必要不可欠なように、その設計図となる遺伝子情報を知り、その並びの改良することが必要であるそうです。
最後に、これからの研究の展望として、美川専任研究員の専門分野である遺伝子相同組換の技術を利用し、世の中にまだ存在しない新しい機能を持つタンパク質を創りだすための方法論についての紹介がありました。

参加者からのコメント

後半の質疑応答では、参加者から「ガソリンとの比較でバイオ燃料電池車の効率性はどの程度でしょうか」など、バイオ燃料電池に関する質問が寄せられました。「バイオ燃料電池のエネルギー効率は40%程度であり、20%程度のガソリン車より高効率であるとともに、燃料となる砂糖などはエネルギー密度が高いためガソリンに比べて少ない搭載量で済む、また保管するにあたっての法規制も無いことから、実用化された場合には有用性が高い」とのことです。未来のバイオ燃料電池車の実用化に期待が持たれました。
また、「抗体の働く時は、体が様々な反応を試行錯誤しながら対応しているのでしょうか」という質問もあり、これに対しては、「ウイルスなどを捕まえる抗体が作られる仕組みですが、人の体はいきなりそのウイルス用の抗体を作れる訳ではなく、ありとあらゆる抗体を多数作製して、その中からそのウイルスに合うものを選択する方法をとっています。これは、新しい機能を持つタンパク質をつくる時も同じように、沢山色々な種類をつくり、そこから取捨選択していくという方法であるということから、まさに、様々な『試行錯誤』を経るものである」ということで、抗体が作られる仕組みと、新しいタンパク質をつくる研究の共通点についても語られました。


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