[開催レポート]
理研よこはまサイエンスカフェ「植物にだけできること~バイオマス植物のはなし~」

日時
2015年11月21日(土)14:00~16:00
講師
蒔田 由布子(環境資源科学研究センター バイオマス工学研究部門合成ゲノミクス研究グループ 研究員)
会場
神奈川県立川崎図書館

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2015年11月21日(土)、理研よこはまサイエンスカフェ「植物にだけできること~バイオマス植物のはなし~」を、神奈川県立川崎図書館で開催しました。

序盤に講師の蒔田研究員より、「植物の研究をしているというと『植物を育て、白衣を着て実験する』と思われますが、私の場合は植物には触れず、一日中パソコンに向かっています。それでも植物の研究をしている、とはどういうことなのか。バイオマス研究の一旦である私の研究紹介も含め、植物だけにできることを中心にみなさまと考えたいと思います。」との紹介があり、和やかな雰囲気のなかカフェが始まりました。

主題である「植物にだけできること」については、動物、細菌などと比較しながら、参加者と話し合う形式で始まりました。植物の特性として思いつくことは?との問いかけに、「光合成をする」「動かない」「花を咲かせる」などの回答が参加者から上がり、それらの特徴や植物における必要性を講師が分かりやすく説明しました。その中で、ソメイヨシノが一斉に開花する理由※1を通じてクローン植物の説明があり、また、植物が動かずに自分自身を守る方法として、花が紫外線の強い場所でより強く色素をつくることや、傷ついた樹木が自分を守る方法として天然ゴムが紹介されました。また動かない代わりに現在でも人工合成できない多様な物質(二次代謝産物)を植物が作っているという説明がありました。
※1 ソメイヨシノは江戸時代の接木によりつくられた同じ遺伝子を持つクローン植物です。そのため同じ条件下で一斉に開花をします。

中盤では、植物の光合成と二次代謝産物を合成する能力に注目し、講師の研究主題であるバイオマスについての話にすすみました。バイオマスとは「化石資源ではなく、再生可能な、生物由来の資源」のことで、二酸化炭素を巡回させるカーボンニュートラルと呼ばれる性質があります。このバイオマスの研究の例として、ソルガムと天然ゴムの研究紹介がありました。また次世代シーケンサ技術の躍進により、大型計算機を使って行われる最先端の研究紹介もありました。
休憩時間には、展示されていた「種の見本」を見ながら、参加者同士が「これは何の種だろう?」と会話を弾ませ、「バイオマス植物に関する書籍」にも関心が高まりました。

参加者からのコメント

終盤の質疑応答では、「育てている花が咲いたり咲かなかったりする原因はなにか?」といった身近な内容から「次世代シーケンサについて」「統計データ解析方法のコツ」等の専門的な質問もあり、研究への関心の深さが伺えました。

ご参加頂いた皆様、どうもありがとうございました。


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