[開催レポート]
理研よこはまサイエンスカフェ「最先端のゲノミクスがひらく再生医療」

日時
2015年12月13日(日)14:00~16:00
講師
吉原正仁(ライフサイエンス技術基盤センター 機能性ゲノム解析部門LSA要素技術研究グループ トランスクリプト−ム研究チーム 大学院生リサーチ・アソシエイト)
会場
横浜市中央図書館

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2015年12月13日(日)、理研よこはまサイエンスカフェ「最先端のゲノミクスがひらく再生医療」を、横浜市中央図書館で開催しました。

今回の講演者は理研の若手研究者であり、大学院生、そして現役の眼科医師としても診療に従事し、3足のわらじを履いて活躍されている吉原大学院生リサーチ・アソシエイトです。今回のカフェの為に、「聴講者の皆様の目線でお話したい」と特別に作成された発表資料や用語解説のプリントに沿って、

  • 遺伝子とは?ゲノミクスとは?
  • 再生医療とは?
  • 研究内容の紹介~ゲノミクスの再生医療への応用~

の3点について、研究の第一線の現場から、臨床の現状を踏まえて語られました。

まずは、遺伝子、そしてゲノミクスについての基礎知識の解説から始まりました。聴講者の方々に分かりやすいように、「細胞」、「核」、「染色体」、「遺伝子」、「DNA」を本や本棚などに例える等、工夫をこらした説明でした。そして、次世代シーケンサーの登場により、人1人の遺伝子解析が十数万円程度の価格で数日でできるようになったという研究現場の状況、ゲノム情報などの大量のデータを処理する「バイオインフォマティクス」という新たな学問領域についての紹介がありました。

再生医療については、話題のiPS細胞を中心に、こちらも分かりやすく解説されました。再生医療とは、身体の失った部分の機能を回復させる医療の事であり、数十年前には、自己複製能をもつES細胞を使用しての治療が模索し始められていたそうです。しかし、ES細胞には、他人の受精卵を使用することによる倫理的問題や、拒絶反応という問題があり、それがiPS細胞という画期的な技術の誕生によりES細胞のデメリットを解決できるようになったのです。昨年理研で行われた、世界初のiPS細胞を用いた目の難病に対する臨床研究についても、眼科医としての診療経験も踏まえながら、詳細に紹介されました。今後、iPS細胞技術は、神経系の疾患(パーキンソン病)などの新たな治療法としても期待されています。

最後に、再生医療の発展のためにはゲノミクスの技術が必須であることを紹介されました。iPS細胞の発見の際にも、理研を中心に行われたゲノミクスのプロジェクトによるデータベースが応用されています。しかし、DNAやRNAがどのような機能を担っているかなど、ゲノミクスの分野ではまだまだ分かっていないことが多く、更なる解明が望まれると話されました。
一方、医療現場では、今後、ゲノム情報を用いて、病気のリスクを予測することにより予防医療や、個々人に合った個別化医療への応用も期待されるなどの展望が示されました。
 

参加者からのコメント

質疑では参加者から、「なぜ眼科という医療分野を選ばれたでのすか?」、「パーキンソン病に対するiPS細胞での治療はいつくらいにできるようになりますか?」などの質問がありました。「ゲノミクスの究極は不老不死の人間ができることですか?」という質問には、「不老不死は無理としても、遺伝子操作の技術の発達により、かなりの病気が治せるようにはなるのではないか」と答え、ゲノミクスへの期待を語りました。また、iPS細胞の発明者である山中教授が元々は整形外科医であったこと、その臨床の中で、脊髄損傷などで肢体の動きに問題がでて苦しんでいる患者様を救いたいという情熱からこの研究を始めたという逸話なども紹介されました。

今回も沢山の質問があり、時間の制限で全てにお答えすることはできませんでしたが、参加者の方々のこの分野への関心の強さ、期待の高さを改めて感じるカフェでした。また参加者に数名の中学生もいらっしゃり、医学部のシステムや医者になるまでの道のり、そして新たな学術分野の話も含まれていたため、進路を考える参考となったのではないでしょうか?

ご参加頂いた皆様、どうもありがとうございました。


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