[開催レポート]
理研よこはまサイエンスカフェ「細胞が運命を決めるとき」

日時
2012年3月3日(土)14:00~16:00
講師
谷内 一郎(免疫・アレルギー科学総合研究センター 免疫転写制御研究グループ グループディレクター)
会場
県立川崎図書館

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「理研よこはまサイエンスカフェ2012」初回となるこのプログラムには、免疫系の遺伝子の発現を制御する機構や免疫細胞の分化の仕組みを明らかにするべく研究している谷内一郎先生が、免疫が私たちの体のなかで働くしくみや、さまざまな免疫細胞が産み出され、それぞれの細胞が機能していくまでの「運命の分かれ道」をテーマとしてお話しました。
事前申込では170名を超える申込があり、抽選で選ばれた約50名の方が参加。図書館2Fの会議室に入る限りの机と椅子を並べての開催となりました。

「免疫」とは何だろう

免疫細胞の分化について語る谷内先生

冒頭では「免疫」は一つの臓器のみに存在するものではなく、リンパ球、好中球などの免疫細胞は私たちの体中にあるものであり、目に見える例として顕微鏡写真で、リンパ節で免疫細胞たちが出会い、情報を交換しあう様子を紹介。
また「免疫」が持つ機能として、最前線で病原体を食べて体をまもる自然免疫のしくみや、みなさんが受けている予防接種も自分のからだが「自分」と「病原体」を見分けて記憶する獲得免疫のしくみを利用したものであることが紹介されました。

免疫細胞の分かれ道

たくさんの免疫細胞は主に胸腺で作られ、たくさんの振いにかけられて、有効な免疫細胞たちがつくられます。後半では、最初の難関を突破した胸腺細胞がどんな条件によって、ヘルパーT細胞とキラーT細胞に分化していくかが紹介されました。
谷内先生は研究を通して、今私たちのからだが備えている「免疫」というしくみがどのように進化してきたのか、そんなことを考えながら生命の進化の謎に迫るべく、日々研究をしているそうです。
また最後には、事前のリクエストが多かったES細胞とiPS細胞の違いや、胚を使わないiPS細胞は倫理的観点からも、医療への応用が期待されていることなどが紹介されました。

参加者からのコメント

iPS細胞を使った再生医療について質問する参加者

最後の質問タイムでは、「数回に分けて注射するワクチンがあるが、各回ごとに身体の免疫レベルではどのような反応がおきているのか。」「iPS細胞の万能性を保つ研究が盛んに行われているが、特定の臓器に分化する細胞だけで臓器をつくる研究を優先させた方が効率的ではないのか。」など、免疫のしくみ、細胞の分化についての質問が多く寄せられました。

当日の様子


サイエンスカフェ年別アーカイブ


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