当研究チームは2000年に設立され、一人ひとりの遺伝的背景を考慮したオーダーメイド医療の実現を目指して、
大規模ゲノム解析技術の開発と様々な疾患への適用を行っています。
チーム設立当初は、Multiplex PCR法とインベーダー法を併用した高速SNPタイピングシステムを確立し
(J Hum Genet)、
国際ハップマッププロジェクトに貢献しました
(Nature)。
2005年以降は、文部科学省委託事業「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」のゲノム解析中核研究機関として、
バイオバンク・ジャパンが収集した20万人以上の様々な疾患の患者さんを対象とする
ゲノムワイド関連解析を推進してきました
(Nat Genet,
Nat Genetなど)。
近年では、集団内における頻度が低いものの疾患発症に大きく寄与する「レアバリアント」に注目し、
独自のターゲットシークエンスの実験系を確立する
(Hum Mol Genet)とともに、
遺伝性腫瘍に着目して研究を進めています。
これまでに、14万人以上を対象とした23がん種横断的な解析を通じて、遺伝子と各がん種の発症リスク、
臨床的特徴、環境因子との相互作用などを明らかにしてきました
(JAMA Oncol,
N Engl J Medなど)。
その成果は、HBOC診療ガイドラインやNCCNガイドラインをはじめとする国内外の多くの診療ガイドラインに反映され、
実際の臨床現場で役立てられています。
また、認知症や、ヒトの疾患モデルとして重要なイヌやネコなどの伴侶動物にも解析手法を応用し、研究の幅を広げています。
さらに、当研究チームでは、大規模ゲノム解析技術を国内外の研究者に積極的に提供して解析を支援しており
(Nat Med,
Nat Cancerなど)、
病気で苦しむ方を一人でも減らすことを目標に研究を続けています。