トップイメージ

生物の寿命とDNAの形
~線と輪で異なる生存戦略~

終了

こちらのイベントは終了しました

この地球上には実に多種多様な生物が存在しています。それぞれが長い年月をかけて環境に適応し、進化を遂げてきましたが、実は生命の設計図であるDNAの「かたち」には大きな違いがあります。原始的な生命の特徴を引き継ぐ原核生物のDNAは、輪のような「環状」をしています。一方で、私たち人間を含む真核生物のDNAは「線状」へと変化し、そこには「末端」が生まれました。この構造の変化こそが、生命システムに劇的な転換をもたらしたと考えられています。
線状DNAの末端は、細胞分裂のたびに少しずつ短くなり、やがて細胞は寿命を迎えます。いわば、DNAの末端は生物の寿命を刻む「時計」のような役割を果たしているのです。しかし近年の研究では、この末端部分にこそ、生物の多様性を生み出す鍵が隠されていることがわかってきました。真核生物は、「寿命」という制約と引き換えに、無限の「多様性」を生み出す力を手に入れた、そう言えるかもしれません。過去にさかのぼって進化の現場を直接目撃することはできませんが、最新の分子生物学の視点から、DNAのかたちが「輪」から「線」へと変化してきた生命の歴史についても一緒に考えてみませんか?

講師三好 知一郎

三好 知一郎 肖像イメージ

理化学研究所 生命医科学研究センター
レトロトランスポゾン動態研究チーム チームディレクター

東京工業大学大学院・生命理工学研究科にて博士(理学)を取得後、京都大学、東京大学、米ミシガン大学にてポスドク研究員として経験を積み、京都大学准教授を経て現在にいたる。

イベントの様子

  • 講演中の写真
  • 講演中の写真
  • 講演中の写真
  • 講演中の写真

7月12日(日)、みなとみらいにて「理研よこはまサイエンスカフェ」を開催しました。当日は中学生から一般の方まで、多くの皆様にご参加いただきました。 今回のサイエンスカフェでは、理化学研究所 生命医科学研究センター レトロトランスポゾン動態研究チーム 三好知一郎チームディレクターを講師に迎え、「生物の寿命とDNAの形 ~線と輪で異なる生存戦略~」をテーマに講演いただきました。
講演では三好チームディレクターの幼少期のエピソードや研究者を志したきっかけに続き、DNAの構造や細胞の老化についての解説がありました。DNAには環状DNAと線状DNAがあり、真核生物が持つ線状DNAの末端に存在する「テロメア」が細胞の寿命と深く関わっていることが紹介されました。
また、細胞分裂を繰り返すことでテロメアが徐々に短くなり、やがて細胞の増殖が停止することや、テロメアを伸長する「テロメレース」の働きについて説明が行われました。さらに、テロメレースと老化・がんとの関係について、最新の研究成果を交えながら紹介されました。
講演の最後には、線状DNAを持つ生物は寿命という制約を受ける一方で、有性生殖によって多様性を獲得してきたことが語られ、「私たちは寿命と引き換えに無限の多様性を獲得した」という言葉で講演は締めくくられました。
後半の質問タイムでは、「環状DNAが進化によって線状DNAになる過程で、再び環状DNAになることは考えられないのか」「高校生のうちに身につけておくとよい基礎知識は何ですか」といった質問が次々と寄せられ、参加者の皆様の科学への高い関心がうかがえました。
理研横浜キャンパスでは、今後も科学を身近に感じていただけるイベントやプログラムを企画してまいります。今後の開催にもぜひご期待ください。

サイエンスカフェ トップへ

Page Top