[開催レポート]
理研よこはまサイエンスカフェ「遺伝子とアレルギーのかかわりについて」

日時
2015年11月28日(土)14:00~16:00
講師
広田 朝光(統合生命医科学研究センター 呼吸器・アレルギー疾患研究チーム 研究員)
会場
横浜市中央図書館

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2015年11月28日(土)、理研よこはまサイエンスカフェ「遺伝子とアレルギーのかかわりについて」を、横浜市中央図書館で開催しました。

今回の講演者は横浜市出身の歯科医師、そして理研の研究者である、広田朝光研究員です。 DNAの配列のわずかな違いが体質の違いとなり、病気へのかかり易さ、薬の効き方、副作用の起こり方等がわかるのでは、という考えに基づいて様々な研究をしていますが、今回のカフェでは、地元横浜の話題もまじえた自己紹介に始まり、遺伝子の解説から、アレルギーと遺伝子に関係する研究内容までを分かりやすく説明されました。

私達人間の個々のDNA配列の違いは0.1%から0.3%程度です。しかし、そのわずかな違いが体質の違いとなり、身近な例として、アルコールへの耐性の違いがある事を紹介しました。人種によってアルコール耐性の割合が違うこと、国内でも耐性を持つ人が多い地域、少ない地域がある事、など興味深いお話もありました。
また、本日の主題であるアレルギー疾患にふれ、本来、異物から身を守ろうとする免疫の働きが、異物が侵入したときに不利に働いてしまうのがアレルギー反応である事を解説しました。

病気の発生には、環境的な要因と遺伝的な要因が関係しますが、病気の遺伝的な要因をみつける方法に、広田研究員の所属する研究施設で開発された「GWAS法」という現在は主流となっている手法があります。この手法を用いてアトピー性皮膚炎と深く関係する遺伝子の領域を見つけ出し、脚光を浴びた日が、奇しくも山中教授がiPS細胞でノーベル賞を受賞された日であったという逸話も紹介されました。
最後に、DNAの情報を使った研究を行い、病気を正しく理解し、原因を特定することによって、新しい治療法や薬の開発への貢献が期待できる事が語られました。また、一部の薬ではあるけれども、体質による薬の効きやすさや、副作用も、予測ができつつあり、研究結果が私達の実生活に活用されている事例も紹介されました。

参加者からのコメント

質疑では、様々な質問があり、「花粉症は治るようになりますか?」の質問には、花粉症を治すには、まだまだ時間がかかりそうだが、現在では、ステロイド療法等により、症状の大部分を緩和し、上手にコントロールすることが可能となっている。今後も症状をコントロールする分野での進展の可能性が語られました。
「アレルギー自体を治せるようになりますか?」の質問には、「アレルギーを完治させる事は簡単ではありませんが、症状をコントロールして緩和させる分野と、なるべくならないようにする予防の分野での研究進展は期待できるのではないだろうか。」と説明されました。

今回も沢山の質問をいただき、講演終了後も、研究員と熱心に科学について語り合う参加者も多くいらっしゃり、盛況のうちに終了しました。

ご参加頂いた皆様、どうもありがとうございました。


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